リール部品とは、テープ状のキャリアに電子部品が規則的に配置され、リール(巻き取り式のスプール)に巻かれた状態で供給される部品です。電子基板への自動実装が容易になるため、広く使用されています。一般的に、リールには数百から数千個の部品が含まれており、大量生産に適しています。
1リールには1000個の電子部品が含まれていることが多く、正確な数を把握することが重要です。しかし、手動で数えるのは非効率でミスが発生しやすいため、専用のカウントシステムが利用されています。
リール部品の数え方には主に二つの方法があります。
手動でリール部品を数える方法は作業者がリールの端から部品を目視で確認し数を記録するというものです。これは非常に時間がかかり、人的ミスも発生しやすい方法です。
大量の部品が必要な生産ラインでは、手動カウントによる数え間違いが原因で生産の遅延や余計なコストが発生する可能性があります。
多くの企業では、X線チップカウンターやリールカウンターといった自動化されたカウントシステムを導入しています。リールに巻かれた部品の数を一瞬で確認できるため、作業効率が向上。
X線チップカウンターは、リールに巻かれたままでも部品を正確にカウントできるため、リールを開封する必要がなく、作業のスピードアップにつながります。
リール部品の在庫管理は、正確なカウントとともに効率的な管理システムが必要です。
リール部品管理システムは、各リールの残数や消費ペースをリアルタイムで把握できます。在庫切れや余剰在庫の発生を防ぐことが可能です。
システムにリールのバーコードをスキャンするだけで、そのリールに何個の部品が残っているかが即座に分かります。こうした機能により、適切なタイミングでの発注が行え、無駄なコストを削減できます。
一部の在庫管理システムには、部品の在庫が一定量を下回ると自動で発注を行う機能が搭載されています。リール部品の不足が生じることなく、常に安定した供給が可能です。
また、発注履歴や使用履歴もシステム上で管理できるため、部品のトレーサビリティも向上します。
リール部品がいつどの工程で使用されたかを記録することで、製造プロセス全体を可視化できます。不良品の発生やトラブルがあった際も、どの時点でどの部品が使われたかを確認でき、迅速な対応が可能です。
リール部品はさまざまな形状や規格が存在し、8mm幅のリールは小型部品に使われ、大きな部品には32mm幅のリールが用いられます。また、リールに格納されるテープの素材も紙テープやエンボステープなどがあります。そのため、在庫管理システムはこれらのさまざまなリール規格に対応していなければなりません。
リール部品のカウントと在庫管理ができる製品を紹介します。
画像引用元:Knk(https://knk-kk.jp/product/parts-mgmt/product-52/)
4つのリールを同時にカウントできるX線技術を使用したチップカウンターです。99.9%の精度で自動カウントを行うため、作業者による誤差がなく、部品の破損や欠落も防げます。1リールあたり約6秒でカウントを完了し、出し入れを含めてもわずか8秒です。
シンプルな日本語インターフェースで誰でも簡単に操作でき、ラベルプリンターとの連携で在庫管理もスムーズに行えます。
画像引用元:JFE商事エレクトロニクス(https://smt.jfe-shoji-ele.co.jp/x-raycounter)
X線を利用した電子部品カウンターで、最大4枚の7インチリールを6〜10秒で同時にカウント可能です。バーコードやQRコードを手動で読み取る必要がなく、自動スキャン機能で効率的な部品管理が可能。
リールのピックアップを自動検知し、数量ラベルを自動で印刷するため、ミスを防ぎます。また、スマートリールラックとの連携により、在庫情報がリアルタイムで自動更新されるのも特徴です。
選定ではまずSMTラインタクトと棚卸しスケジュールを満たす処理速度を確認します。1日2,000本を8時間で処理する場合、セット替えを含め10秒/本以下が望まれます。精度は99.9%以上を目標に、0603や0402での実測誤差を装置テストで確認してください。対応幅と最大リール径、価格と保守費用、そしてMES/ERP連携用のAPIまたはCSV出力が揃っているかも重要です。
X線チップカウンターの装置価格は900~1,200万円、年間保守は35~50万円が標準帯とされます。光学式は本体250~400万円、保守10~15万円ですが巻き戻しによる停滞時間が長く、ライン停止コストとの比較が必要です。社内モデルケースでは、棚卸し要員2名・年間1,200時間の作業をX線チップカウンターで70%削減できた場合、投資回収は概ね2年程度と試算されます(モデル試算であり実際の効果はライン条件で変動します)。
X線チップカウンターはリールを開封せず高速・高精度に計測でき、部品抜け検出にも優れますが、装置価格と放射線管理コストが課題です。カメラ式カウンターは導入コストと保守費が低く、放射線管理も不要ですが、巻き戻し工程が必須でテープ摩耗や静電破壊リスクが残ります。また大ロットを迅速に処理する際はタクト不足が生じやすく、微小チップでの誤差も大きくなりがちです。自社の部品形態・ラインタクト・品質目標に合わせて最適方式を選定してください。
X線チップカウンターは年1回の漏洩線量測定とX線源出力チェックが法令およびメーカー推奨事項です。加えてシャッター機構と冷却ファンの点検を半年ごと、搬送機構のグリスアップを1,000運転時間ごとに行うと長期精度を維持できます。カメラ式カウンターはセンサー窓の清掃とローラー摩耗点検を月次で実施し、ソフトウェアのアルゴリズム更新を年次で適用してください。純正保守契約では遠隔診断と部品交換をパッケージ化している場合が多く、ダウンタイムを最小限に抑えられます。
既知個数の基準リールを用いた比較計測が一般的な校正方法です。X線チップカウンターは半年ごとに透視画像のコントラストと濃度分布を確認し、偏差が規格外ならゲイン調整します。カメラ式は送り量を基準治具で月次確認し、スリップ補正を行います。校正ログを自動保存する機能を活用すると、ISO9001やIATF16949の監査で求められる実績証明を容易に提出できます。
まず前回校正日と最新計測ログを照合し、センサー出力やX線画像のヒストグラムに異常がないか確認してください。次にテープの巻きズレや空ポケット混入など物理的要因をチェックし、必要に応じてリワインダーで再巻き取りを行います。ログはフレーム単位で残るため、異常フレームを抽出しMES上のロット情報と照合することで、対象リールのみを再検査する運用が可能です。
カメラ式カウンターの年間保守は10~15万円、X線チップカウンターは35~50万円が目安で、後者には漏洩線量測定や線量計校正費用が含まれます。長期保守契約を活用すると出張費込みの定額化が可能で、突発故障によるライン停止リスクを低減できます。
クラウド型在庫システムに各拠点のカウンターをVPNまたはHTTPS APIで接続し、共通部品マスタでリアルタイム同期を行うことが基本です。バーコード体系を統一しておけばリール移送時にラベル貼り替えが不要となり、二重在庫計上やトレーサビリティ断絶を防止できます。ロケーション属性を付与すると、拠点間貸与や緊急振替も容易になり、全社最適な部材配分が可能になります。
手動でのカウント作業には限界があり、自動化されたカウント技術と在庫管理システムの導入が不可欠です。X線チップカウンターやリールカウンターを活用することで、部品数の正確な把握が可能になり、在庫管理システムとの連携でリアルタイムな管理が実現します。
システムの導入により、生産効率の向上、コスト削減、不良品の削減といった多くのメリットが期待できるでしょう。
カウント速度を向上し業務効率化に大きく貢献するおすすめのX線チップカウンターをご紹介します。
大量の部品を扱い 計測数が多い企業なら |
高さがあるリールの 計測が必要な企業なら |
大型部品の製造が 中心の企業なら |
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企業名/製品名 |
スピーディーなカウントと 簡単な操作 KnK HAWKEYE2000 ![]() 画像引用元:KnK公式(https://knk-kk.jp/product/parts-mgmt/product-52/) |
計測部の自動昇降で 高い部品に対応 シンアペックス XQuik III ![]() 画像引用元:シンアペックス公式(https://shinapex.co.jp/news/denshi/product/xquik/xquik-iii/) |
17インチ直径の 大きなリールへ対応 アルファエレクトロニクス Assure ![]() 画像引用元:アルファエレクトロニクス公式(https://alphacorpjp.com/product/assure/) |
精度 | 99.9% | 99%以上 | 99.9% |
カウント速度 | 6秒+出し入れ2秒 | 数秒 | 約10秒 |
対象 サイズ |
最小部品(0402)対応可 リールサイズ:7~15インチ |
最小部品(0402)対応可 撮像エリア:400 x 400 mm (リールステージ自動昇降) |
最小部品(0402)対応可 リールサイズ:~17インチリール |
装置 サイズ |
900(W) x 1,310(D) x1,940(H) mm | 1,000(W) x 1,080(D) x 2,340(H) mm | 870(W) x 890(D) x 2,250(H) mm |
重量 | 650kg | 1,030kg | 360kg |
事前登録 | リール、部品共に不要 | - | 不要(セルフティーチング) |
操作性 | 初心者でも1時間半程度で習得できる | - | タッチパネルによる操作で簡単、見やすい |